先ずは、文章の技術ではなく心構えをお話します。
文章の勉強をしていると「 視点 」という言葉が出てきます。
この視点って一体なんでしょう?
視点とは?
1 視線の注がれるところ。
2 物事を見たり考えたりする立場。観点。
「 視点を変えて考える 」「 相手の視点に立つ 」
3 透視図法で、画像と直角に交わる仮定の一点。対象を眺める位置。
コトバンク様のデジタル大辞泉の解説から引用させて頂きました。
この記事で言いたい視点は2 物事を見たり考えたりする立場。観点。が適切です。
この視点には二通りの使い方があります。
① その人ならではの視点
「 主婦ならではの視点だからできた発明 」とある主婦のひらめきからできた便利グッズを指しての言葉です。
「 記者歴20年ならではの視点で書いた力作 」とある作家が、前職をいかして書いた小説の宣伝の言葉です。
これらはその人ならではの視点を指したものです。
② 相手の視点になること
「 あの議員には市民の視点になって政策を打ち出して欲しい 」とある国会議員に向けられた言葉です。
「 いじめを受ける側の視点になって考えてほしい 」とあるいじめっ子に向けられた言葉です。
これらはその人ならではの視点ではダメであることを指しています。
文章を書くにあたっては二通りともに必要です。
あなたならではの視点で物事を考え、読者の視点になって文章を書く。
簡単そうですが、読者の視点になって文章を書くということは難しいです。
- 読者のためになる内容か?
- 読みやすい文章か?
先ずはこの2点。心構えとして意識して下さい。
「 自分には文章力がないんですよー 」たまに聞きます。
そう言う人のほとんどが誤解しています。
そもそも文章力ってなんだろう? 素朴な疑問ですよね。
お答えします。
文章力とは、あなたの伝えたい事を、伝えたい人に、文字で伝える力です。
難しい言葉を多く知っていて、それらを器用に使いこなせる事が文章力ではありません。
語学力は小学校5年生レベルであれば大丈夫です。
どうですか? それなら難しくはないでしょ?
2008年にフジテレビ系列で放送された『 CHANGE 』( チェンジ )というドラマがありました。
木村拓哉さん主演の連続ドラマです。
小学校5年生の担任が国会議員になり、そして総理大臣になるという内容です。
このドラマの中で、難しい言葉ばかりを使って話す国会議員にたいして、「 僕を小学校5年生だと思って説明して下さい 」というセリフがあります。
これが大事なポイントです。
人は難しい言葉を使われると、とりあえず分かったふりをしてしまいます。
意味を質問すればいいのですが、分らないまま聞き流す人がほとんどです。
それは、質問するとバカだと思われるから。
バカだと思われるのが嫌だから、聞き返さずに済ませてしまいます。
これが聞き返さない理由のほとんどです。( 話の流れを止めない気配りだとか、聞き返すのが面相臭い、などもありますけどね )
自分にはわからない言葉ばかり使う人の話が面白いはずがありません。
実際の国会中継などを見て面白くないのは、討論している話の意味が分からないからです。
知らない単語がたくさん出てくるからです。
面白いと思ってもらうには、先ず分ってもらうことが必要です。
以前、屋外イベントの脚本を書かせていただいたことがありました。
通りすがりの人たちも立ち止まって観てもらえるような、お芝居にしたかったのですが、
音響設備の都合で、後ろの方の席になると音が届かずにセリフが聞こえない状態になってしまいました。
前の方に座って観ていた人たちは、面白がって盛り上がってくれました。
でも、通りすがりの人は立ち止まってくれるのですが、何をしゃべっているのか分からないので、結局通り過ぎてしまいました。
いくら面白いお芝居をしていても、通りすがりの人に内容が伝わらなければ、ただ「 何かお芝居みたいなことをしている 」だけになってしまいます。
これと同じように、あなたが、とても役立つ情報を書いたとしても、読んでくれる人に言いたいことが伝わらなければ、ただ「 何か難しいことが書いてある 」と思われてしまうということです。
文章の基礎などについて書かれた書籍などを見ても、「 小学校4年生でも分かる文章にすることが大事 」と記載されているものが複数あります。
先ずは、多くの人に分かる言葉を使って書く
これを意識して下さい。
それが文章力を付けるための第一歩です。
文章が上手く書けないという人は、なにが問題なのかを探ってみましょう。
基本的に3つの共通点があります。
1 必要なことが書かれていない
2 構成が悪い
3 文法が間違っている
これらを解決していけば大丈夫です!
面倒くさいと思いました?
ですよね。
特に文法なんて学校の授業みたいで遠慮したいですよね。
なので、がっつりと勉強しなくていいですよ。
正直いうと、わたしの文法も怪しいですから (笑)
たいていの人は書いているうちに、みるみる文章が上手くなっていきます。
だからと言って知らないよりは知っているほうがマシです。
ちょっとでも知ったうえで、コツコツ書いた方が上達は格段に速いのです。
表現力というものは、簡単に身に付くものではありません。
普段から意識をすること。
その積み重ねによって付くものです。
では、この表現力をどのようにして身に付けていくのか?
その方法をお話します。
近年、「 老若男女問わず使われるようになったなぁ 」と僕が感じる言葉が「 やばい 」です。
対面で会話をしているときであれば、表情などから言いたいことは伝わってきます。
これが文章だったとしても、話の流れがきちんとしていれば、言いたいことは分かります。
でも、あなたの表現力を向上させたいのなら、「 やばい 」以外の言葉を使うべきです。
とはいえ、ずっと使ってきた言葉を簡単に変えることはできませんよね?
それに大抵の言葉は、反射的に発しています。
なので、矯正することは簡単ではありません。
でも、文章は書いてから読み返せます。
必要があれば書き直せます。
なので、あなたが「 やばい 」と書いていたのなら、それがどうして「 やばい 」のか、その理由を考えてみて下さい。
例文
手直し文
例文
この出来事は、嬉しいのか、迷惑なのか、分かりませんよね?
手直し文
このように「 やばい 」の前に、その理由を書き込みます。
そうしましたら、文章から「 やばい 」を消して下さい。
手直し文
「 このスイーツは今まで食べたなかで、一番おいしい 」
「 先輩に告白された。とても嬉しい 」
いかがですか?
「 やばい 」が不要だと分かりますよね?
このようにして どうしてそう思ったのか、その理由を書くことで、気持ちが分かりやすくなります。
なにより文章から幼稚さがなくなります。
この表現で充分かというと、完璧とは言えません。
「 おいしい 」という言葉も、どうおいしいのか?
まだ具体的に表現できます。
でも、ここは表現力をきたえる第一歩です。
そこまで追求しないでおきましょう。
「 やばい 」を多用するよりも、はるかに良いですよね?
「 やばい 」に限らず、日常生活で意味の広い言葉がまだまだあります。
「 イケメン 」なんかもそうですね。
どのようなイケメンなのかを、考えてみて下さい。
こうして普段から意識することで、表現力は次第に鍛えられていきます。
頭の中に浮かんだことを伝わる文章にしていく方法
文章が上手く書けないのは、頭の中に浮かんだ伝えたいことが、言葉として上手くでてこないからでもあります。
ここでちょっと試してみて頂きたいのですが、
紙とペンを用意できますか?
一つの絵を頭に思い浮かべて下さい。
そうですね、犬にしましょう。
しっかりと思い浮かべましたか?
では、描いて下さい。
…………
…… どうですか?
想像した通りに描けましたか?
描けませんよね?
とはいえ、実際には描いていない人がほとんどです。
描いて下さったあなた、「 ありがとうございます! 」
文も同じです。
頭の中に伝えたいことが思い浮かびます。
でも、それを書いてみると何かが違うのです。
「 あれ? こんなことを書きたかったわけじゃないのに…… 」
大人になってくると絵を描く機会はへります。
また、絵を使って意思を伝えることはめったにありません。
でも、文を書く機会は変わりません。
人によっては多くなったでしょう。
日常でも言葉を文字にしていく作業は当たり前のようにあります。
だから書けて当たり前だと思ってしまう。
それが上手く書けないから困ってしまう。
上手く書けないと、意思がきちんと伝わりません。
絵描きはデッサンをして力をつけます。
木炭で描き、色はつけません。
デッサンは完成された作品として描かれることもありますが、本来は表現を探求するために行うものです。
上達するための練習と言っていいでしょう。
上手な絵を描くのと同じく、上手な文章を書くためにも練習が必要です。
でも、練習と言ってひたすら文章を書いてもだめです。
注意点を知っておきましょう。
くどくどと基礎を学ぶのは面倒ですが、さらっとでもいいので、文章の基礎の記事 → 文章の基礎 に目を通してくださいね。
注意点をちょっとでも知っていて書くのと、やみくもに書くのとでは、上達スピードがまるで違います。
ではでは。
エージロー