ショートショート

ショートショート 文章術

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『 ショートショート 』

もう何年前でしょうか、

お蔵入りになってしまった一篇を公開します。

人によって定義は分かれてしまいますが、

ショートショートというジャンルにあたる作品です。

「 相棒 」というお題が出されて書いたものです。

前置きはこれくらいで、

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タイトル 「野望の序章」   

私の名前は徳武彩那。

私には目標がある。

近い将来、

日本初の女性内閣総理大臣の職に就くことだ。

その為にリーダーの器を若い時分より発露していく必要がある。

先ず手始めに、

2週間後に投票日を迎える選挙で当選しなければならない。

一番の強敵はクリーンなハト派の蓮池桂太郎だ。

爽やかな笑顔と穏やかな物腰で、

多くの女性票を獲得するであろう。

陳腐な表現だが、

まさに目の上のタンコブである。

このタンコブを排除する為、

私が目を付けたのは、

蓮池の取り巻きの一人の田中だ。

どこか頼りなく、

取り巻きの中でも常に最後尾をついて歩く田中を、

私は密かなパートナーに選んだ。

ただ、

悠長に構えてはいられない。

この差し迫った状況でモノを言うのはやはり実弾だ。  

しかし、

百や二百で田中を手なずける事はできなかった。

私は思い切って一桁上乗せし田中に渡した。

すると田中も所詮は人の子、

私に忠誠を誓い、

蓮池の情報を持ってくるようになったのだが、

金額に見合った内容は皆無だった。

私の目的は蓮池の弱みを握り、

それをネタに立候補から降りて頂くというシンプルなものだ。

それにはもっと田中をけしかけなければならない。

私の激と追加金二千を餌に、

田中は必死で蓮池に取り入り、

蓮池の懐深くに潜り込んだ。

二人は無二の親友のように打ち解け、

ついに田中は蓮池の自宅に招かれるまでになった。

しかし、

なんの収穫もないまま、

投票日が迫ってきた。

私は焦った。

タスキをかけて選挙活動をして歩く蓮池の隣に田中が並んで歩いている。

その様子は真の友情が育まれているのではないかと思うくらいだ。

私は一抹の不安を感じ、

田中を呼び出した。

田中がくるのを待つ間、

私は考えた。

蓮池と懇意となった田中は情にほだされ、

情報収集を止めたのではないか? 

ひょっとすると、

逆に私に牙をむいてくるのかもしれない。

嫌な予感がする。

今一度、

田中の意思確認をしなければ……

それにしても遅い。

私は焦れた。

そして田中がやって来た。

待たせたことを詫びもしない。

「遅い!」

私は怒鳴った。

田中は周囲を気にしてその口の前に人差し指を立てて見せた。

あの頼りない田中が私に指示を出していることに無性に腹が立った。

「一体、いつになったら蓮池の尻尾を掴んでくるのよ!」

私は声を荒げた。

溜まった不安は暴言となって更に口をついて出る。

「お金を受け取ったくせにまさか寝返ったんじゃないでしょうね?」

「心外だな。なら、忠誠を見せますよ」

田中は壁に貼ってある蓮池のポスターの左目に画鋲を刺した。

踏み絵のつもりだろうか、

随分と子供じみた真似をする。

田中は画鋲を私の掌にのせた。

その画鋲で私は蓮池の右目を刺した。

「これで俺たちの絆は確認できましたよね」

田中よ、

お前はどこまで幼稚なんだ。

しかし、

ここは同調すべきであろう。

私は田中を鼓舞するために声を荒げた。

「蓮池を潰すよ!」

「おお!」

その時だった、

ガラリと扉が開いて男が顔を出した。

私は、

冷静さをすっかり失くしていた。

こんないさかいを、

校長室の前で繰り広げるなんて……。

しかも、

話の全てが筒抜けだった。

私は校長先生からこっぴどく叱られ、

生徒会長への立候補は辞退することになった。

一番痛いのが、

田中に握らせた総額五千三百円。

小学校六年生の私には大金なのだ。

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如何でしたか?

このように最後にオチがくる短編小説を

ショートショートと呼びます。

暇つぶしにでもなりましたら幸いです。

 

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