①思いついたことをそのまま書かない
文章を書いているうちに、つい思いついたことを書いてしまうことがあります。
その表現は浮いてしまったり、意味が違ったりして、伝えたいことが明確に伝わらなくなります。
例文
共に歩き、共に探し、共に笑い、共に感じ、共に選び、共に泣き、共に背負い、共に抱き、共に迷い、共に築き、共に願い……そんな日々を過ごしてきた姿見。
「 この家に住んでいる人がこれを使っていましたよ 」と、私のプライベートをご近所中に知らせたみたいで恥ずかしくなった。
この例文はコブクロの「 永遠に共に 」の歌詞が挿入されています。
黄色いハイライトの部分がそうです。
つい、「 生活を共に 」という言葉に引っ張られて出てきたのでしょうか?
感傷的な気持ちの代弁にも合う曲だと思いますが、この文章で一番伝えたいことは、
―― 私のプライベートをご近所中に知らせたみたいで恥ずかしくなった。 ――
ということです。
黄色いハイライトの部分がまるまる不要です。
もう一つ、例を挙げます。
以前、知人と共同で仕事をした時のことです。
それぞれが個別に原稿を書いて、何度か会って調節していくということで始めました。
しかし、1回目、2回目、ともに知人は全くと言っていいほど原稿を書いてきませんでした。
その時のお詫びメールをご紹介します。
例文
満身創痍というと、全身傷だらけの状態のことです。
または、非難を受けることです。
知人は怪我でも病気でもありませんし、もう一つの意味をそのまま受けとめると、僕が非難をしてそのことで心を痛めているみたいです。
それだと僕に対する嫌味になります。
「 自分、けっこうボロボロなんですよー 」という気持ちが書かせてしまったのでしょうかね。
よく知っている人でしたから、そうではないことは分かりますけど。相手によっては謝罪文のはずが、機嫌をそこねてしまいます。
くれぐれも、思いついたことをそのまま書かないように気を付けましょう。
また、話が散らかると分かりずらくなります。
②話を散らさない
文章を読んでいると、話があっちにいったり、こっちにいったり、散っていることがあります。
散ってしまうのは、思いついたまま書いてしまうことが原因です。
文章を書くときは、話ごとにまとめて書くようにします。
例文
山は涼しかった。森の中に入っていくと更に涼しい。そして空気がすがすがしい。
でも、スイカ割りは海のだいご味だ! 目隠しをしてグルグル回って、スイカまでふらふらになって歩いていく。もし転んでも、砂だからケガをしない。
山でスイカ割りをする姿は浮かばない。山といえばキャンプファイヤーもあるけど海でもできる。
如何ですか?
海の話かと思えば山へ、そして海へ。
特に最初の一行は、何のことだか読み進めないと分かりません。
すぐ山に話題がかわってしまうので、なおさら伝わりづらいですね。
山の話、海の話、それぞれをまとめて書くようにしましょう。
手直し文
山は涼しくすごせる。森の中などは、よけいに涼を感じる。それに空気がすがすがしくて気持ちがいい。夜は気温が下がって肌寒く感じるけれど、そんなときに囲むキャンプファイヤーはまた格別だ。
話は代わるが、海のだいご味と言えばスイカ割りだ。目隠しをしてグルグル回って、熱い砂の上をふらふらしながら歩いていく。転んでも砂の上ならケガはしない。暑いけど海は行動派にはもってこいだ。
このように山と海で分けることで、それぞれのことがはっきりします。
場所がごちゃ混ぜになった例でした。
次は人物が混ざってしまった例を紹介します。
例文
それに、めったに見かけることもありません。
でも先日、美鶴さんとエレベーターで2人だけになりました。
この会社に勤めて5年になりますが、初めてのことです。
美鶴さんの他には奈緒さんというクールな美人と、早苗さんという癒し系美人がいます。
美鶴さんはバスケットボールをしていて健康的な美人です。高校、大学を通してバスケットボールをしていたそうです。背は高くないのでイメージできなかったのですが、高校時代はキャプテンで高校総体にも出場したことがあるそうです。
如何ですか?
バランスが悪いですよね。
美鶴さんについてだけ語りたいのなら他の2人のことを紹介する必要はありません。
でも、美人3人と言っているのですから、他の2人も美鶴さんと同じくらい触れてほしいいですね。
手直し文
先ず、美鶴さん。
健康的な女性でスポーツ万能です。
高校時代にはバスケットボールチームのキャプテンをしていて高校総体にも出場しました。大学時代もバスケットボールに明け暮れていたそうです。
入社して4年になりますが、病気での遅刻欠勤が一度もないそうです。次は、奈緒さん。
クールな印象の女性です。
ピアノが趣味で、社員の結婚披露宴でその腕前を披露しました。
入社当時は縁故採用だとウワサがあったのですが、仕事がとてもできるのであっという間にウワサは消えてなくなりました。最後に、早苗さん。
笑顔の素敵な女性です。
相手の喜ぶ話題選びが的確で、本人はしゃべっていないのに話し上手と言われています。たまに身を乗り出したり、うなずき方が微妙にちがったり、本当に楽しそうに笑ったりするので、接待には欠かせないそうです。この3人の美人は全員、社長秘書です。
うらやましくて仕方ありません!
例文では最初に『 美人がいる 』と書いてあったのですが、手直し文では『 美人が3人いる 』と書きました。
そうすることで、話題はその3人の女性についてだと、すぐに分かります。
それから一人ずつ、大体同じくらいの分量で紹介していきました。
エレベーターで美鶴さんと2人だけになったという話は、必要がないので削りました。
何についての話なのか、誰についての話なのか、話ごとにまとめて書くと伝わる文章になります。
③出来事の順番に書く
人は先に目にした物事から順番に理解していきます。
文章でも先に読んだ情報から処理をして理解していきます。
伝わる文章にするために、先に起こったことから順番に書くようにしましょう。
例文
昼休みに訪れたラーメン屋では待たされた挙句、僕の注文を忘れられていた。夕方に女子社員がくれたチョコを食べたら余計にお腹がすいてきた。朝寝坊して何も食べていなかったので、もう限界だ。極めつけはラーメン屋の帰りに買ったカップ焼きそばだ。湯切りをしていたらメンをシンクにぶちまけてしまった。
本当についていない。
思いついた順に書いたために分かりづらい文章になりました。
同じ一日の中で、昼、夕方、朝、昼と順番がごちゃごちゃになっています。
手直し文
昼休みに行ったラーメン屋では注文を忘れられ、大盛りチャーハンを食べ損ねた。
時間がないので、コンビニでカップ焼きそばを買った。給湯室で湯切りをしたら、メンをシンクにぶちまけてしまった。
夕方、女子社員からチョコをもらったのだが、食べたら余計にお腹がすいてきた。
朝、昼、昼、夕と順番にして、少し文を足しました。
例文
いつもなら20時には帰宅をするはずの息子が21時になっても帰ってこないことを、おかしいと思っていた。
犯人から最初の電話がかかってきたのは、その1時間後だった。身代金は1千万。受け取る場所については「 追って連絡する 」との内容をうけての電話だった。
最初と最後が今で、間に前日のことが書いてあります。
電話をしている時に出来事を思い出して説明する構成にしているのですが、これでは内容が伝わってきません。
手直し文
塾を終えた息子は、いつもなら20時には帰宅をするはずが、21時を過ぎても帰ってこなかった。
22時、犯人から最初の電話がかかってきて、身代金、1千万円を要求された。
受け渡し場所については「 明日、電話する 」とのことだった。
そして今日の18時、犯人から二度目の電話がかかってきた。
出来事が起こった順番に書きました。
いかがでしょうか?
このほうが伝わりますよね。
ではでは。
エージロー